●下田少年消防クラブ(高知県四万十市)
 

 市立下田小学校では、以前から地元消防団に消防、防災訓練の指導をいただき、防災に対する意識が強いことから、平成23年5月、少年消防クラブの発足となりました。下田小学校の高学年で構成されて、全校生徒64名のうち6年生と5年生がクラブ員として活動しています。クラブ指導は地元の消防団である四万十市消防団下田分団と、消防署が行っています。
 活動内容の一つ目は消防署体験学習。実際の公道を消防車で走行する体験をし、救急車や消防車の車内説明や、救急法では固定する副子を使った応急手当、心肺蘇生法、真横にロープを張ったロープ渡りや、災害活動に着る防火服の着用、消防装備品の点検などを行いました。

 

消防署体験学習

DIG
 
 続いての活動はDIG。昨年の指導者研修会で行っていたDIGを見たことから実施しました。下田地区の危険性について研究をし、地域のことに詳しい消防団の方に協力をいただきました。
 三つ目の活動は「こども防災フェス」です。下田少年消防クラブ、伊田少年消防クラブ、 上川口少年消防クラブの三つのモデルクラブ員を対象としたイベントでしたが、周囲の子どもたちにも声掛けをし、防火について学んでもらい、また消防団員の指導力の向上も兼ねて開催しました。参加団体は消防組合のほか、日本防火協会の協賛行事の助成を受け、四万十市、黒潮町、四万十市消防団、黒潮町消防団や高知県、高知県消防協会、日本赤十字社、自衛隊、日本公衆電話会など、12もの団体の協賛協力をいただきました。また、米
海軍日本管区司令部消防隊広報官である長谷川さんに講演いただき、自分の命は自分で守るために自然に体が動けるようないろいろな知識を、大変楽しく学べたイベントとなりました。日本赤十字社では、通信や仮設ベッドの体験。自衛隊は特殊車両乗車体験、ロープの結び方などを教わりました。また、四万十市と黒潮町の両消防団に役割分担してもらい、 ブルーシートで簡易テントを作ったり、紙パックでの皿作り、段ボールで作るトイレ、ゴミ袋を使ったレインコート、ゴミ袋に新聞紙を詰めた布団、また段ボールを使った間仕切りなど防災のものづくりを体験しました。そして自衛隊による炊き出し訓練の試食では四万十市と黒潮町の女性防火クラブの方々にお手伝いいただき、来場者やクラブの子供達が自分で作った紙パックのお皿で、カレーの試食をしました。その他雨体験、土石流、災害3Dシアター、土石流模型実験装置や災害用171伝言ダイヤル等の体験イベントを実施しました。
 これまで活動していく上で、生徒が少なくなったことによるクラブ数の減少、クラブ員の習い事が重なって研修日程の調整がとても難しいことや指導者が仕事の都合で参加が少ないことなど、指導者の後継者の育成、学校との連携が継続できるか不安といったような課題点も見えてきました。
 活動目標は春、秋の火災予防運動による防火啓発活動や、「こども防災フェス」の継続、コミュニティー助成事業で配備された資機材の取り扱いや、近隣の老人入所施設と防火避難訓練、野営訓練などを計画しているところです。
 少年消防クラブができたことで、子どもと消防団のつながりができ、消防団と地域の関係がより一層密になり、消防団員の中にも、イベントを実施することにより指導する楽しさを実感し、その広がりも見えてきています。発足当時に比べ、子どもの地域活動や防災に対する積極性も生まれ、私達消防も架け橋的な存在になってきました。なにより、防災を高知県の文化として根付かせていきたいと思います。
 少年消防クラブが発足し、この2 年、クラブ員は驚くほど地域防災に関心を示すようになりました。その気持ちに応えるため、私達防災関係者も少年消防クラブと一緒に活動を続け、日頃から顔の見える関係を築くとともに、今後必ず起こるとされている南海地震に備え、自助、共助による防災力の強化を図りたいと考えております。



こども防災フェスタ




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